はじめに
毎年、マンガファンが心待ちにしている「このマンガがすごい!」ランキング。2023年のオトコ編TOP10は、幅広い読者層から注目を集めています。
本記事では、1位から10位までの受賞作品を私なりに紹介します。このリストに名を連ねた作品たちはもちろん、どれも素晴らしい作品ですが、もっと知名度があってしかるべしと思われるものも多いので是非チェックしてみてください。
1位:『光が死んだ夏』 – モクモクれん
光が死んだ夏
モクモクれん – KADOKAWA
ある集落でともに育ってきた二人の同級生・よしきと光。ある日、山で行方不明になった光が帰ってきたが、よしきは光が別のナニカにすり替わっていることに気づきます。それでもいつも通りの日々を共に過ごしていると、集落では様々な事件が起こってしまいます。
光の見た目をしたナニカとよしきによる歪な関係や恐怖心をあおるような事件の数々、得体のしれない雰囲気にどんどん引き込まれていきます。
2位:『さよなら絵梨』 – 藤本タツキ
さよなら絵梨
藤本タツキ – 集英社
「私が死ぬまでを撮ってほしい」という病の母の願いを受け、映画を作成した優太。母の死後、自ら命を絶とうとした優太は、突然現れた美少女・絵梨と映画の共同制作を始めることになります。
とにかく一度読んでみてください。そうすると、最後にはもう一度読み返したくなっている、そんな作品です。
3位:『タコピーの原罪』 – タイザン5
タコピーの原罪
タイザン5 – 集英社
複雑な家庭事情や学校でのいじめによってボロボロの少女しずかと、タコ型の地球外生命体であるタコピーの物語。食べ物を恵んでくれたしずかに感謝しているタコピーは「ハッピー道具」という不思議な道具によってしずかを助けようとしますが…
人の気持ちを理解できないタコピーがしずかをハッピーにさせようとするも、うまくかみ合わない感じがもどかしいです。家庭崩壊やいじめ問題など、重たいテーマを取り扱っているだけでなく、タコピーの不思議なキャラクター性や短い物語の中で張り巡らされた伏線の数々によってかなり深い作品となっています。
4位:『あかね噺』 – 馬上鷹将/末永裕樹
あかね噺
馬上鷹将 / 末永裕樹 – 集英社
あかねが尊敬する父は落語家。落語をする父の姿を見て、見よう見まねで落語をするあかねですが、そんな日々が突然終わりを告げます。父に降りかかった理不尽なほど突然の破門。尊敬する父の凄さを伝えるため、あかねは落語家になることを決意します。
落語漫画ということで、少し不安なところもありましたが、実際は終始最高に面白い作品になっています。勝気な少女が主人公であり、まっすぐに落語に向き合うあかねの姿は王道スポ根漫画のそれに近いです。
5位:『劇光仮面』 – 山口貴由
劇光仮面
山口貴由 – 小学館
僕は何者でもない。僕は器に過ぎない。それが僕の強さだ。そんな主人公・実相寺二矢(じっそうじおとや)はアルバイトをして日々を過ごしています。そんなある日、大学時代の特撮サークルの仲間が死去し、実相寺は当時のメンバーと再会を果たします。
かなり狂気溢れており、独特の雰囲気を醸し出している作品。単なる特撮ものとかではなく、終始不穏な空気が流れています。間違いなく名作なのですが、大人向けというか、深い作品が好きな方にとにかくお勧めしたい。
6位:『これ描いて死ね』 – とよ田みのる
これ描いて死ね
とよ田みのる – 小学館
伊豆王島に住む高校1年生の安海 相(ヤスミ アイ)。漫画を読むことが好きな彼女ですが、とある出来事により漫画をつくることを意識し始めます。作品を生み出すことの苦労も喜びもすべて描かれている作品。
仲間たちとともに漫画をつくっていく主人公ですが、漫画家漫画によくある、連載を目指すとか作品をヒットさせるといった目標があるわけでなく、本当に純粋に漫画が好きで漫画を描いているといった感じが堪りません。
7位:『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』 – 地主
スーパーの裏でヤニ吸うふたり
地主 – スクウェア・エニックス
社畜街道をひた走る、愛煙家のくたびれ中年男性・佐々木。
仕事に疲れたある夜、癒しを求めてスーパーに向かいますが、目当ての山田さんはいません。
タバコを吸える場所もなく、意気消沈した佐々木に「ここなら吸える」と声をかけてきたのは、
すこし奇抜な服装をした田山という女性でした。
テンポの良い会話と、踏み込みすぎない二人の距離感がものすごく良いです。
ただただタバコを吸いながら会話をしているだけなのに、その会話の内容が絶妙に面白い。
8位:『ONE PIECE』 – 尾田栄一郎
ONE PIECE
尾田栄一郎 – 集英社
「富・名声・力」この世の全てを手に入れた男、〝海賊王〟ゴールド・ロジャー。彼が遺した「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」をめぐり、海賊たちが群雄割拠する大海賊時代が訪れます。主人公モンキー・D・ルフィをそんな海賊たちの一人であり、仲間たちを集めながら海賊王を目指して冒険します。
知らない人はいないほどの名作となったこの作品ですが、作者もかなり気合を入れていた「ワノ国編」の盛り上がりは凄まじく、これまでの20年以上の伏線たちがどんどん回収されてきています。現在は「エッグヘッド編」が連載されていますが、その勢いはとどまることを知りません。このまま完結まで勢いを増しながら走り続けることは明白です。
ワンピースが完結するという歴史的瞬間を目にするためにも、ぜひ今のうちに読み始めることをおすすめします。
9位:『正反対な君と僕』 – 阿賀沢紅茶
正反対な君と僕
阿賀沢紅茶 – 集英社
空気を読んでしまう元気少女・鈴木と、はっきりと自分の意見を言える物静かな男子・谷くんによる等身大ラブコメディ。
今尊い漫画を読むならこれ。そろそろ「尊い」という辞書にこの作品を書いてもいいのでは?というくらい尊さに溢れています。
9位:『緑の歌 ─収集群風─』 – 高妍
緑の歌 ─収集群風─
高妍 – KADOKAWA
“好き”の気持ちに、国境はない。台湾・台北で暮らす少女・緑(リュ)は、日本の文化を通じて新しい世界と出逢います。この作品は音楽を愛し、物語に救われたひとりの少女の物語です。
繊細なタッチで一コマ一コマ丁寧に描かれていることが伝わってくるような綺麗な作品。台湾の方が描かれた漫画ということですが、違和感なく読めるというか、そんなことより心が揺さぶられる作品です。
まとめ
2023年の「このマンガがすごい!」オトコ編TOP10を通じて、私たちは多様なテーマと才能あふれる作家たちの作品に触れる機会を得ました。『光が死んだ夏』から『緑の歌 ─収集群風─』に至るまで、各作品は独自の世界観とメッセージを持ち、読者一人ひとりに深い印象を与えています。これらのマンガがなぜトップ10に選ばれたのか、その理由は作品を読み進める中で明らかになるでしょう。本記事が、新しいマンガとの出会いのきっかけとなり、読者の皆様のマンガライフがさらに豊かになることを願っています。